サイクルロードレースの最高峰

全21ステージでおよそ3,500kmを走破

パリ市街地から田舎道、ピレネーやアルプスの山岳地帯まで、約3週間で全21ステージ、各150〜200km前後のレースを転戦し、トータルでフランス全土をおよそ3,500km走るロードレースです。

同じように3週間にわたるステージレースには他に、ジロ・デ・イタリア(イタリア)、ブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン)がありますが、その中で特に人気を圧倒しているのがツール・ド・フランスです。

2017年 ツール・ド・フランスのルート

2017年 ツール・ド・フランスのルート

毎年コースは異なり、フランス国外を通ることも多く、今年はドイツのデュッセルドルフからスタートします。

世界最高峰のトップチーム、選手が出場

ツール・ド・フランスに出場するチームは、世界最高峰カテゴリーのUCIワールドツアーチーム全18チーム。そしてワイルドカード枠として選出されたセカンドカテゴリーのUCIプロコンチネンタルチームから4チームの計22チームです。各チームから出走できる選手は9名。トップカテゴリーチームの中で厳選された選手、計198人が一斉にスタートし、ツール・ド・フランスが開幕します。

100年を超える歴史

第1回大会は1903年に開催。大戦による中断をはさみ、2017年大会は第103回となります。

全世界で30億人以上が視聴?

日本では自転車ロードレース自体の認知度がまだ高いとは言えないものの、世界的に、とりわけヨーロッパ地域では非常に人気のあるスポーツイベントです。

実際、ツールは世界60カ国で生中継され、ダイジェストやニュースなどを含めると世界約190カ国で放送されており、その視聴者数は35億人とも言われている。また毎年7月のバカンスシーズン開催で、ヨーロッパだけでなく世界中から観客が詰めかけ、その数はひとつのスポーツイベントとしては世界最多の1500万人とも言われる。それだけにスポンサーや機材メーカーなどの広告宣伝効果や観光への貢献度も高く、ビジネス的にもビッグイベントなのだ。

日本人選手は?

ツール・ド・フランス100年以上の歴史の中で、出場した日本人選手の数は多くありません。しかし近年では、別府、新城という2大スター選手が登場しおり、日本人初のステージ優勝も夢ではないところにきています。日本人選手の活躍を見るのも、ツール・ド・フランス観戦の楽しみの1つになっています。

川室 競

初めてツール・ド・フランスに出場した日本人選手です。ただし当時のツール・ド・フランスは黎明期であり、現在とはルールが異なるところが多く、個人での参加も可能でした。しかし変速機すら無い時代であり、レースは過酷だったようです。

1926年、1927年の2回出場し、いずれも第1ステージでリタイアに終わっています。

今中 大介

現在と同じルールが確立した「近代ツール」としてのツール・ド・フランスに初めて出場した日本人選手です。現在は自転車レース中継の解説や、自転車イベントなどを通してスポーツ自転車の普及に尽力している人物です。

  • 1996年 : 第14ステージでタイムオーバーによりリタイア

別府 史之

別府史之

別府史之

2015 ジャパンカップ・サイクルロードレース
筆者撮影

2005年に日本人として初めて、最高位カテゴリーのUCIプロツアーチームに加入。世界のトップカテゴリーで活躍する初めての日本人選手となりました。

2009年にツール・ド・フランスに出場、新城幸也とともに日本人初の完走を果たしました。最終日シャンゼリゼでの第21ステージでは日本人初の敢闘賞を受賞しています。

  • 2009年 : 第3ステージ8位、第19ステージ7位、第21ステージ敢闘賞、112位完走。

新城 幸也

新城幸也

新城幸也

2016 ジャパンカップ・サイクルロードレース
筆者撮影

別府史之とともに2009年に初出場以来、昨年までに6回もの出場、完走を果たしており、もはやツール・ド・フランスの常連といえる選手です。

2012年に敢闘賞を受賞し、日本人として初めてツール・ド・フランスの表彰台に立ちました。(日本人初の敢闘賞は2009年の別府だが、最終ステージのため表彰がなかった)

  • 2009年 : 第2ステージ5位、129位完走。
  • 2010年 : 第11ステージ6位、112位完走。
  • 2012年 : 第4ステージ敢闘賞、84位完走。
  • 2013年 : 99位完走。
  • 2014年 : 65位完走。
  • 2016年 : 第6ステージ敢闘賞、116位完走。

今年の出場はまだ未定ですが、日本人初のステージ優勝に期待せざるをえない選手です。

追記)新城選手の7回目のツール出場が発表されました!

日本国内での視聴方法は?

現在日本ではBS放送のJ-SPORTSが全ステージ生中継放送しています。基本的にJ-SPORTS4の有料放送ですが、一部のステージやダイジェストが無料放送になることもあります。

2016年までは、ほとんどのステージがレース途中からの放送開始でしたが(これはヨーロッパなどの他国でも同様)、今年2017年のJ-SPORTSの放送では、世界初の全21ステージ スタートからフィニッシュまで完全生中継が予告されています。

実は日本は世界的にも恵まれた視聴環境が提供されているのです。ぜひ観戦してみてはいかがでしょう!

この他、近年はNHKがBSでダイジェスト番組を放送しています。

ツール・ド・フランスの見どころは?

ツール・ド・フランスに興味を持った方、今大会から観戦してみよう、という方向けに、ツール・ド・フランスの見どころを解説する記事を順次公開しています!

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